テーブルに危なげな本の塔!
来読もの+未読モノ、焦るわぁ~
石井遊佳 :著 新潮社 :発行
舞台はインドのチェンナイで主人公は日本語教師。著者の現況と重なる設定です。
百年に一度という大洪水に運ばれた大量の泥。そこから掘り出される人。ヒト。もの。
渋滞を逃れて、自家用の翼で空を飛んで通勤する特権階級の人達がいる。
内気で人との会話・コミニュケ―ションが出来ない母を”人魚”と納得する主人公=私。
闊達でユーモラスな表現も楽しい文章ですが、何しろ連いて行かれない。
好みからは全く外れた作品でしたが、好きだった部分もありました。
インドのTOP企業のエリート社員に日本語を教えている『私』
生徒たちのレベルは10歳程度ですが、その中に非常に優秀な頭脳と知能を持ちながら、ひねくれた扱いにくい美青年:デーヴァラージ。
彼とのかかわり合いは、興味深く面白く読みました。
芥川賞って?と疑問のなかです。
もう一つの芥川賞≪おらおらでいぐも≫を読んでから考えるとして。。。
江国香織 :著 集英社 :発行
東京・神谷町にある、大正期に建築された洋館に暮らす、風変わりな柳島家の話。
ロシア人の祖母・子供を学校にやらない教育方針・叔父や叔母、と
4人の子供たちにお手伝いさんが暮らす家。
そして、4人の子供たちのうち2人は父親か母親が違っている。
時は、1960年秋 ~ 2006年晩秋 。
<家族それぞれの体験を、視点も時間も飛ばして、自由につなぎ合わせて書いてゆく。
家族といっても、一人ずつ、ですから>と、著者が言われるように、時系列をはなれて色々な年代にそれぞれの物語が描き出されます。
この書き方、慣れるまで戸惑いましたがだんだん良くなってきました。
それにしても、この時代を私は知っています。
当時を思い起こしても、こういう家庭や暮らしがあったとはなかなか信じがたいのです。
運転手さん付きの大きな車で試験の時だけ登下校していたクラスメートも居たし、
伯父の家にも、友人にも、◎☆さま と私を呼ぶ複数の女中さんがいたけれど。
この本にかかれている暮らしとは遠すぎる~~まるで、これって、明治時代?くらいに。
江国香織さん、実は2冊目ですが『左岸』より魅力的でした。
この本は、大切にとっておきます。
中で、妙に納得できる部分…
相槌はすばやく機嫌よく。けど言葉は短く。長話は禁物。客から見聞きした事柄は、つねに二つに一つでその中間はない。すなわち憶えておくべき事項か、忘れてしまう――あるいは忘れたふりをする――べき事項か。鮨屋の親父さんの言。
世間体と言うのは自分の良心のこと、と母は言っていた。そうだね。
えっと…
その他読んだ本です。↓
よかったのは、『小さき者たちへ』(重松清)
いつもながら、平凡な日常の中の大切な心を思い出させてくれます。
そして、何がどのように勇気や慰めや喜びを感じさせるのか、気付かされます。
『秩父慕情』(佐山利子)
初めての作家さんでした。
バー“岩ざくら”のマスター悟志と妻の節子、銀座のバーの雇われママ民子を描いた「秩父慕情」。江戸時代、商家で働くおきわと太吉の悲恋を描いた「夢物語」。
今と昔の二つの物語が、武甲山の急峻な岩場に人知れず花を咲かせる岩ざくらに繋がる。
名古屋出身の寡作な方のようですが、又読んでみたい方。
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