
笹本稜平 : 著
文藝春秋 : 発行
内容(「BOOK」データベースより)
世界第2の高峰、ヒマラヤのK2。
未踏ルートに挑んでいた翔平は登頂寸前の思わぬ事故でパートナーの聖美を失ってしまう。
事故から4年、失意の日々を送っていた翔平は、
アマチュア登山ツアーのガイドとして再びヒマラヤに向き合うことになる。パーティに次々起こる困難、交錯する参加者の思い。
傑作山岳小説。
K2というのは中国とパキスタンの国境に位置するカラコルム山脈のひとつの山で、
エベレストに次ぐ世界第2位の標高は、8,611m。
登山者にとって憧れの山度は、エベレストを凌ぐそうです。
とにかく、読み切るのに長い時間がかかりました。
10日位かかって、やっと。
面白くなかった訳ではありません。
ハラハラ。ワクワク感はたっぷり、筋も文もとても好きなのに・・・
理由は、山岳地名や登攀の専門用語がふんだんに出てくること。
登山経験者なら想像出来る場面に出会うそのたびに ページが止まっていました。
初めての作者ですが、
本格的な
(って、言い方変ですか) 登山の経験が実際にあるのか、と思ってしまいます。
机上の知識で、ここまで臨場感豊かに描けたのでしょうか・・・だとすれば、凄いプロです!
私には難しすぎる専門的な言葉をスルーしてしまえば、
越し方・行く末、人生を立ち止まって考えさせられる言葉に度々出会得ました。
「誰もが山に惹かれるわけじゃない。しかし現実の山じゃなくても、誰もが心のなかに山を持っている。
それは言葉では定義できないが、どんなに苦しくても、むなしい努力に思えても、人はその頂を極めたいとい う願望から逃れられない」
「希望は向こうからやってくるとは限らない。迎えに行くのを待っている希望もある。
前へ進めば、必ず開ける未来がある。金もなければ才覚もなかったこのわたしが今日まで生きながらえてきた 唯一の理由は、絶望を禁忌としてきたことだ」
心臓にペースメーカーを埋め込んだ、神津の言葉は心に響きます。
医療機器メーカーのワンマン経営者という世間の評判をに甘んじながら、
実は真摯で冷静な判断力で会社経営にも登山にも向き合って・・・
人としてのスケールの大きさ・優しさ・暖かさを貰いました。
ある意味、非常に読みにくかったのですが
読了感は、満足感いっぱいでした。
ちょっと、書ききれない・・・