昨日のこと。
前の日に観た映画≪鑑定士と顔のない依頼人≫の原作本を買おうか?と迷っていました。
これまで、映像化の後で原作を読んだことはほとんどありません。
でも、一回だけ・・・何かあったと思うのですが、思い出せない・・・
ブログの過去記事(カテゴリー)で、映画の所を見ても思い出せない・・・
本のカテゴリーにも何故か思い当るものがない・・・
本棚を探っていたら、この本に出会いました。
読みたくて買ったのに、読んだ記憶がない!
ブログにも記事はありません。
やはり、買っただけで読んでなかったものです。
何冊かまとめて買ったからでしょうか?
何故か、わかりません。


さだ まさし : 著
幻冬舎文庫 : 発行
ある男を「殺したい」と思ったことが、二度あった。。。杏平。
それが元で、心を病んで高校三年で中退した。引きこもりになった。
そして、
父のすすめで、≪遺品整理業:
クーパーズ≫の見習い社員になる。
遺品整理業、重くて暗いイメージになりますね。
明るい陽気な内容ではないのですが、
とても、とても良かったです。 さださん、歌声だけがちょっと好みではないのですが、
親しみやすそうでも、実は太くゆるぎない芯を心に持っているヒト、好きなのです。
柔らかな心で、穏やかに受け止めるけれど、へらへらと迎合はしない。
さださんの本に登場する人々も、同じです。
そうそう!と、同感・共感・身につまされる部分がいっぱいですし、
主人公と、周囲の人が皆いい方で、私自身にとっても救いとなる言葉がふんだんに。
杏平のお父さんや高校の先生、そして「クーパーズ」の人々が素晴らしい^^
心に響く言葉が何度も出て来て、付箋を貼り付けながら読んでいましたら、付箋だらけに。
悩んで、引きこもりになっている息子:杏平に、
「おまえは魔法にかけられちゃったんだな。魔法でカエルにされちゃった王子様なんだ。お父さんが魔法をといてやるか
らな」。 ・・・こんな風に子供に語りかけられる親、いいですね。出来ませんねなかなか。
杏平の心の傷が癒されていく様子と、明らかにされて行く過去ががサスペンス調で面白さを増します。
細やかで繊細で優しくて強い人たちが、無駄のないリズミカルな優しい文体で描かれています。
解説によれば、
実際の≪遺品整理業:
キーパーズ≫がモデル。
会社内部の様子も
キーパーズの仕事も、隅々のディテールまでここに書かれた通り。
この小説で、杏平の復活に大きな影響を与える
クーパーズの
佐相さんも、
実際にいらして、この物語のままの素晴らしいお人柄だとか。
あ、誤解されるとお気の毒なので一言・・・もっとずっとお若い、前科とは無縁の方です。
佐相さんはいつも「仏さんを助けに行く」と行って現場に向かう。
誰にも看取られることなく亡くなった方々が、そのまま残したモノ達を片付ける。
見られたくないものは処分し、家族には良いところを残してあげる。
本当に悲惨な場面でも、顔色も変えることなく的確にことを運ぶ。頼もしく、格好良く、優しい。
これ、映画になっています。
キャスト・・・私はあまり知らない方です。多分、小説の方がいいような気がしています。