
柳 広司 : 著
第一部 (昭和八年 春)
第二部 (昭和八年 秋)の二部構成で、
華族社会崩壊寸前の、退廃と享楽の時代の東京が舞台です。
祖母にロシア人の血を引き、パリで生まれ育った子爵・麻倉清彬。
その親友で陸軍中尉の多岐川伯爵家の長男・嘉人。
嘉人の美しい妹・多岐川万里子。
そして、清彬ひいては朝倉子爵家の大恩人、今上天皇(昭和天皇)の信頼厚く、政府の首班指名にも絶大な力を持つ大叔父・周防高輝など・・・
眩しいばかりの上流社会に住む登場人物が、
初期の昭和を舞台に描く不可思議な世界。
物語の始まりは、
殺人容疑をかけられた親友・多岐川嘉人に上野のカフェーに呼び出される清彬・・・
華族社会で起きた殺人事件と2.26事件を画策準備する青年将校たちと嘉人の関係・・
禁断の恋も絡んで、あ、意外な展開^^
これも題名と装丁に負けた本でした。
可もなく不可もない、かな?
この作者、『キング&クィーン』に次いで2度目でした。
↓
こちら です。
・・・・・・・
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恩田 陸 : 著
文春文庫 : 発行
ふと、窓の向こうで誰かが近寄ってきて手を振っていることに気付く。
顔を上げると、背の高いスラリとした女がホームで私を見ていた。
それが君原優佳利だと気づき、私も笑って手を上げて見せる。
再び、安堵と失望が半分ずつ。
間に合っちゃったか。静の異母兄、渡部研吾が消息不明になったらしい。
突然呼び出された研吾のパートナー:優佳利と、奈良への旅を誘われて・・・
研吾とは、それほど親しくはないのにと思いながら、優佳利の話に乗ってしまった静。
恩田陸さん、以前読んで結構興味を持ったのですが、
これは正直好みから外れていました。
優佳利という人、実は他人でした。藤島妙子。
ただ妙子の言葉によれば、研吾・優佳利とは、奇妙な三角関係で成り立っていたという。
そして、優佳利は交通事故で亡くなったとも。
そのあたりは本当にしても、
次々と続く妙子の嘘は、不思議なことに物語の中で見事に研吾にも優佳利にも受け入れられていく。
恩田さんの本の特徴でしょうが、
夢と現実の境界を行きつ戻りつ~なふわふわした物語。
それが、楽しければまた良し・・・でしょうが、何かまともに読むのが無駄な気もしました。
ミステリーっぽい部分は、それなりに楽しめましたし
終わり部分は、唐突感もありながらそれなりにナルホド。
でも、暫くこの方の作品は近づかないかもしれません。
こすずめ、ただいま温泉地へのバスツアー参加中。明日帰る予定です。
予約投稿です。

楡周平 : 著
新潮社 : 発行
渋沢と幸造の間に続いていた友情。
人情味豊かな渋沢に・・・やはり潜めた本性が。
最後にあっけなく消滅する。そうなんだよね~
そう言えば・・・新聞社が伝書鳩を通信に使っていた時代があったな。
NET社会の現代現在から、そう遠くなかった過去。
サクサクと、どんどん読めます。
モデルは○日新聞?
最近の、その新聞社の凋落していく様と重なりました。
伏線の張り方、「鳩」の使い方好きな作家:楡さんの物語展開です。

時代はGHQ統制下の中、情報管理が思う様に行かないある日、
離島の火事の取材途中、
海難事故に遭遇した新聞記者:渋沢は、米軍艦船と衝突事件での唯一人の生存者となった。
渋沢が、海難事故のもみ消しと黙秘の肩代わりに得たものは・・・
事故を封印するため、自らも唯一の生き残りであることを封印。
それをきっかけに、政治力を持つメディアの覇者まで上り詰めていく渋沢と、
新聞社の伝書鳩係の少年とのつながりに心温まる心情を持ってよみました。
・・・が、
上下巻本にありがちですが、これもでした。
上巻は快調に読めてサクサクも、下巻はペース落ちました。

最近元気な電子書籍、この中ではまだ試行以前。
紙社会の敵となるかもしれない電子書籍を巡る攻防は。
それはまだ近未来のテーマ、「未来予測」を扱っています。
電子書籍、実は私もどうなて行くのか?きになっています。
だって、私は、
紙が好き!ですもの。
まひるの月を追いかけて は、↓で。

恩田 陸 : 著
文春文庫 : 発行
ふと、窓の向こうで誰かが近寄ってきて手を振っていることに気付く。
顔を上げると、背の高いスラリとした女がホームで私を見ていた。
それが君原優佳利だと気づき、私も笑って手を上げて見せる。
再び、安堵と失望が半分ずつ。
間に合っちゃったか。静の異母兄、渡部研吾が消息不明になったらしい。
突然呼び出された研吾のパートナー:優佳利と、奈良への旅を誘われて・・・
研吾とは、それほど親しくはないのにと思いながら、優佳利の話に乗ってしまった静。
恩田陸さん、以前読んで結構興味を持ったのですが、
これは正直好みから外れていました。
優佳利という人、実は他人でした。藤島妙子。
ただ妙子の言葉によれば、研吾・優佳利とは、奇妙な三角関係で成り立っていたという。
そして、優佳利は交通事故で亡くなったとも。
そのあたりは本当にしても、
次々と続く妙子の嘘は、不思議なことに物語の中で見事に研吾にも優佳利にも受け入れられていく。
恩田さんの本の特徴でしょうが、
夢と現実の境界を行きつ戻りつ~なふわふわした物語。
それが、楽しければまた良し・・・でしょうが、何かまともに読むのが無駄な気もしました。
ミステリーっぽい部分は、それなりに楽しめましたし
終わり部分は、唐突感もありながらそれなりにナルホド。
でも、暫くこの方の作品は近づかないかもしれません。

浅田次郎 : 著
講 談 社 : 発行
まるで不幸な女の流転を見るよう~と、律子は言った。
(船の代名詞=Herからでしょう)
赤十字船として国際的に認知された客船。
航路の安全を保障(安導券)されて、
絶対に沈められることがないはずの
緑十字船、弥勒丸
昭和20年、豪華客船は沈没した。
膨大な金塊を運ぶための、人柱:2300人の命と共に台湾沖に沈んだ。
実際には「阿波丸事件」と呼ばれる事件がモデルですが、
敗戦を確信していた日本が最後のあがき、無謀な密命の被害には憤りを感じました。
でも、多分これは小説部分の創造が多いのでしょうね。 昭和16年、横浜⇔サンフランシスコ航路のために完成しながら、
就航前に戦争に駆り出された民間旅客船、弥勒丸・・・実際の阿波丸とは少し違いそう。
阿波丸は、高速旅客船だったようです。

緑十字船当時の弥勒丸…想像スケッチ。お借りしています。 イギリス領から日本の支配下に収められ、昭南と呼ばれたシンガポール。
ラッフルズホテルが、日本軍人の仕事場になっています。
あの・・・ラッフルズホテル^^
時は流れ~~
宋英明”と名乗る老台湾人から、弥勒丸の引き揚げを持ち掛けられた軽部と日比野。
命を懸けた決断・・・
聡明な、ハンサムウーマン律子、カッコいい!。
タイトルの「シェラザード」は千夜一夜物語(アラビアン・ナイト)の王妃の名前。
リムスキー・コルサコフの交響組曲シェエラザード・・・物語のBGMになっていました。