こすずめ日記2
食事の記録を書くことからはじめました。 パソコンで書く・描く・教わる日々の覚書・・・
半田と、世間の棺(せけんのかん)

前記事の続きです。


半田は、名古屋の南に延びる象の鼻のような知多半島・・・その、真ん中あたりに位置します。


photo_spot2_map.png
半田は、

運河沿いの蔵や赤レンガ造りのビール工場跡などロマン豊かなたたずまい。
『ごんぎつね』などの童話でお馴染みの新美南吉の生まれ住んだ町。
夏には、華麗で勇壮な三十一台の山車まつりで賑わい、
牧畜も盛んで半田牛、春の彼岸花も有名です。

そして、
江戸時代から醸造と海運を利に発展した経済的にも文化的にも豊かな町です。


過去記事の半田 ・・・・   彼岸花 ・・・・ 




DSC00694.jpg

その半田にちなんだ小説の話を聞いて買った二冊は、
寂野(さみしの)』、澤田ふじ子著と、『海の翼』、秋月達郎著。

澤田ふじ子作品の世間の棺(短編集:寂野に入っていました)は、
内容に少しヒントを貰って、あとは実際に読みます。

ヒントは・・・明治23年、明治天皇の半田行幸にまつわる話。

それにしても、愛知県の小さな町に現人神(あらひとがみ)の行幸ですか?
いささかの手落ちも許されない細かな心配りと、莫大な費用が強いられるでしょうに、なぜ半田?

きっと不思議そうな顔をしていたのでしょうね。
わかりやすく説明していただきました。

それが、↑に書いた半田の概要に由来します。


『世間の棺』は、単独ではなく短編集、『寂野』に収められていました。
感想は↓、続きを読むで。




寂野澤田ふじ子 : 著
徳間文庫  : 発行

初めての筆者ですが、好きというより憧れに近いかも。です。
言葉:表現が的確で美しい~~
日本語の素晴らしさに、何度も立ち止まってしまいます。

「石女」「無明記」「寂野」「栗落ちての」「世間の棺」「鮎」を収納。

どれも見事な小説で、感想を書き始めたら長くなりそう。
後付けの解説が私の気持ちと重なる部分が多いので、
「世間の棺」以外は、それの引用を混ぜながら簡単にします。



・・・・まず、「世間の棺」・・・・
     大日本帝国憲法発布と国民皆兵制・制定の、明治23年3月、
     愛知県尾三地方で、明治天皇行幸のもとに陸海軍連合大演習が行われ、
     半田の醸造家:小栗富次郎の屋敷を大本営とし、天皇自らが演習の統括に臨まれた。
        
     陛下に夜伽の用意を、と囁かれた小栗富次郎の困惑・・・身分・人柄・年恰好がふさわしい娘は?
     そして、その天皇の夜伽に選ばれしまった平田菊。
     陛下の夜伽相手を栄誉と受け止める人も少なくない時代にあって、菊一家は違った。

     一家の名誉にかかわることを思うと、自害もならずその時を寒々と待つ菊に、お召はなかった。
     陛下の大演習に対する決意は、物見遊山ではなかったからですが、、、、、

     その後、菊の運命は一変。
     お召のなかったことは、人々には怪しく受け取られ悪意の眼差しや言葉に傷つき・・・
     哀れで痛ましい罪人に人を追い込みました。

     半田出身の作家:澤田ふじ子さんの史実に基づきながら、創作された、
     無責任な風評が人を葬り去る怖い小説。

          

・・・・「石女」・・・・
     著者のデビュー作。第24回小説現代新人賞受賞作品。
     江戸後期、石女が理由で返された菊が、乳兄弟の卯之助へ寄せる思いと、藩の重鎮たちの陥穽に嵌められ、
     無実の刑に処せられる…その端正な筆致は、
       
     その筆法の折り目正しさと品格を五木寛之に評価され、
     丹念な作品で好感が持てるは、山口瞳の評。

     お家大事のための体制維持に汲々とするあまり、庶民の苦しみは切り捨てる為政者と、そのために悲運を
     味わう庶民の姿を、著者はこの後しばしば書いている。
        
        
・・・・「無明記」・・・・
     お市の方の3女:小督(こごう)が、尾張知多大野城主:佐治与九郎との最初の結婚で設けた2人の娘の
     荒涼とした人生が語られている。
     姉は入水、妹は盲目の尼僧になったという伝説。
     小督が、徳川秀忠との間に産んだとされる和子に比べて、あまりにも寂しい2人の生涯は、
     親に必要とされない、又は存在さえ忘れられている子供の側の透明な悲しみが掬い取られている。

・・・・「寂野」・・・・ 
     黒染めを行う大きな棟と、県の道場が一つの門構えの中にある建物の茶室でのうは茶をたてていた。
     世に兵法者と知られているのうの父:吉岡憲法の本業は黒染屋だった。
     憲法染めと呼ばれる、漆黒の刃物さえ通さない染を生業にするようになっても、剣の名門と信じる宮本武蔵。
     父:憲法亡き後の吉岡一門は、つぎつぎ武蔵に勝利を持っていかれるが、のうは武蔵に惹かれる。
     これ以後の、武蔵と吉岡一門の話は長編小説に生まれ変わる。
         
・・・・「栗落ちての」・・・・
     紺屋の娘:刀禰は、伊勢の型紙売り:小十郎と将来を誓うが、かれは大垣藩士らしき者に切り殺された。
     小十郎が隠密であったかどうかはっきりしないまま、彼の子を身ごもった刀禰を、遠縁の松五郎が暖かく見守る。

・・・・「鮎」・・・・
     人間の暗く悲しい欲望の姿が映し出される。
     人間の深層をえぐる筆の確かさが見て取れる作品。
     切ないはなし~~
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